今日も君に翻弄される。

わたしとは対照的に、和泉くんは冷静に呼吸している。


むしろ、わたしがむせた原因を追求されそうになって。


和泉くんです、とか言ったら変な誤解を生んで怒られるかもしれない。


というか、引かれかねない。


それは困る。

……よし、回避しよう!


「わたしはレアチーズも好きだよ!」


って、何を口走っているんだいわたし――!!


ああもう、よほど焦っているらしい。


自分で自分が予測できないことなんて、すごく動揺しないとありえないのに。


処理が追いつかない頭は、すぐにでも真っ白に染まる予感がする。


「あそこのレアチーズは葵の好みに合わない」

「和泉くんレアチーズも食べたの?」


って、それも違う。


さっきからわたしは何を言っているのか。


おおお落ち着けわたし、落ち着いて……!