今日も君に翻弄される。

「……わ、かった」


明日持ってくるね。


結構赤い気がする顔で、何とかそれだけ約束すれば。


「僕も明日持ってくるよ」


和泉くんは特に気負いもなく請け負って、少し笑った。


それからどうやって帰宅したのか、わたしは覚えていない。


頭が真っ白になってそれどころじゃなかった。


多分和泉くんがいつもより近くまで送ってくれたんだと思うけど。


寝る前に、ぼうっとした頭で忘れずにレポートを鞄にしまった、ような気がする。


おやすみなさいって送った気もする。


ともかく、和泉くんとわたしは、成り行きでレポートを見せ合うことになったのだった。




「はい葵」

「はい、和泉くん」


次の日。お互いに交換して鞄に入れる。


……入れたのに、取り出してしげしげ眺める和泉くん。


「あの、わたしいないところで読んでね?」

「うん」


分かってる、となだめた和泉くんの歩幅がいつもより大きい。


今日は急いで帰って、一番に読もうねと決めてある。


気もそぞろで何でもないことを話しながら、家路に着く。


角で別れた後家に駆け込んで、もどかしくレポートを取り出した。