今日も君に翻弄される。

わしわしと不器用にこするわたしを放って、お母さんはレポートを覗き込んだ。


「葵、彼氏いるのね」

「!?」


和泉くんについての記述を見られたらしい。

いつの間に!


「あの、その」


やましいことは書いていないけど。

いないんだけどやっぱり恥ずかしい。


わたわたと真っ赤な顔で口を開け閉めするわたし。


タコみたいな色をしているわたしをおかしそうに笑うお母さん。


「葵にもやっと彼氏ができたのね~」


やっとってなに、とさらに混乱するわたしに、お母さんはイタズラっぽく微笑んだ。


「葵」

「ううううん……!」

「今度、良かったら連れておいで、『和泉くん』」

「うっうん!」