今日も君に翻弄される。

叩かれた肩が跳ねる。


「葵」

「ん……?」


寝ぼけまなこをこすりながら振り向くと。


「お母さん……?」


立っていたのは、お母さんで。


「ごめんね、うなされてたから」


自分が寝ていたことは把握した。


ってことは、ええと、つまり。


あれは夢で。


「う、あ、だいじょーぶ……ありがとう」


……自分が今真っ赤な自覚はあるぞ、わたし。


変な夢見た。




お母さんは笑ってわたしのおでこを指差した。


「赤くなってるよ?」

「え」


慌てて前髪をおでこになすりつける。


でもやっぱりうまく隠せていないのか、未だに笑っている。


「文字ついてる」

「ええ!」


指された頬を手で隠す。