今日も君に翻弄される。

僕はその辺りの機微に疎い。


葵が誰かを庇っているのか違うのか、他のことなら大抵分かるのにそこだけは分からない。


まあ、今回は、深読みし過ぎただけだったけど。


『そもそも、何故あのメールを送る必要があったのか全然分からない。説明して』


照れ隠しに僕は葵をからかうことにした。


『それは……!』

『それは?』


思惑通り、素直な葵は悲鳴を上げてくれて、安堵する。


本音なんて、誤魔化さないと言えない僕は狡いだろうか。


『な、何となく、です』

『何となく? 随分曖昧だね。自分の行動にはきちんと責任を持つべきだ』


こんなことを書く僕を、狭量だと、葵は非難しない。


一度たりとも、笑ったことはない。


葵の長所に甘えたまま、葵との日々を貪る僕を、僕自身は悔いるというのに。


だから、怒っても、拗ねても、何だかんだで笑いに変えてくれる葵が好きなんだ。