今日も君に翻弄される。

『ねえ』

『(い、いずみくんがあんぽんたんって……あんぽんたんって言った……! 可愛い、可愛いよー! ……はっ、返信! 返信しないといけないよね!? ええと、)

 はい!』

「遅い……」


――僕は今不機嫌だ。


変な時間に起こされたから、勿論それもある。


でも、僕よりも何よりも。


『心配したんだけど』

『(……え?)』


心配、したのだ。凄く。


怒ると同時に、葵は少々どこか抜けているから、


何かあったんじゃないか、とか、


事件に巻き込まれたのだろうか、とか。


葵のことが気掛かりで珍しくも電話をしたのに、


葵は花を飛ばして無頓着だから。


自分よりも他人を労るような、馬鹿な恋人だから。


……葵はいつも僕を不安にする。