今日も君に翻弄される。

和泉くんが無表情だ。


いや、いつもクールなんだけど、うん、つまり、ほぼ大抵はポーカーフェイスを装備中、なんだけど、でもそれは無意識下でのこと。


和泉くん自身に自覚はあってもあくまで無意識。


自覚がおありなら笑う努力を……! と思わず進言して、即答で却下されたのも今となってはいい思い出です。


だって生きにくそうじゃないか。


断った理由としては、面倒だから、というのが本人談。


……まあ、というわけで。


いつもは意識してではないから、わざとの表情にものすごく違和感が発生した。


視線だけは熱っぽく、そっとわたしを見つめてみせる演技派な和泉くん。


「……葵って、」


雫がこぼれるみたいに、一つ、ばくばくと落ち着きのない心臓をあおるような呟きが、落ちた。