今日も君に翻弄される。

和泉くんが授業してくれたら、わたしだってきっと分かるのにな、

とか、

わたしの数学担当の先生は学校で一番若くてイケメンだと騒がれている先生だけど、和泉くんの方がかっこいいのにな、

とか。


思ったことを述べただけである。


「葵、にやけないで気持ち悪い」


うるさそうに和泉くんが眉をひそめる。不本意だ。


「にやけてなんかな」

「ケーキ奢ってあげないよ」

「……はーい」


もちろんケーキは食べたいので、わたしはしぶしぶ頷いた。


心中反論する。


にやけてなんかないもん。


ちょっと、ちょーっとだけ、思い出し笑いと妄想とで頬の筋肉が弛緩しちゃっただけだもん。


そうしたらちょこっと顔がひどいことになっただけで、決して気持ち悪いとか断言されるほど顔面崩壊してしまってはいないと思うんだ、わたし。