「どっか、行きたいって思って。……なんかフラフラ歩いちゃった」 「……現実逃避でもしたのか?」 「…………そんな感じかな」 涼音の現状を言い当てた言葉に、苦笑した。 現実逃避、か。 (逃避出来る現実があったら、現実じゃないって) 「いいな、それ」 自己否定の言葉を思い浮かべていると、カサッと枯れ葉を踏む音。 「俺も現実逃避したいなーつって、山来た」 少年が、涼音の近くに胡坐を掻いた。