掴んでいたはずの檻は、マッチ棒のようにモロく、海水の中でバラバラに折れ始めた。
1本1本は浮かぶように作られているのか、棒となった檻は海面に浮かぶ。
サメはそれを避けるように一度散った。
「ユウダイサマ、泳いで」
加穂留の声に、俺は今、無防備に海に放り出されていることに気づく。
船の方へ向けて泳ぎ始めたとき、キクカワが船の周りに魚の内臓と血をばらまいているのが目に入った。
心臓が止まるような恐怖。針で指先を刺されたような痛さ。
すぐに方向を変え、何もない海の中をひたすら泳ぐ。
もがくように泳ぐ。
手足をバタつかせ、必死に見えない陸を目指す。
檻の一本でも掴んで泳げばよかったと、この期に及んでも頭は冷静。
檻の浮かんでいる方を向けば、そこにまだ漂っていた。
しかし、その近くにはサメが群がっている。
迷っている暇はなかった。

