顔は海面、体は海中、海の中がどうなっているのか見ることはできないが、背鰭が左右に蛇行して海面に現れているのを見ると、確実に俺を狙っているっていうのがわかる。
檻を掴んでいた手にヌメっとした冷たいモノが触った。
それがサメのどこかしらだということに気づくのに時間はいらなかった。
直後、檻に更に体当たりをしてきたからだ。
何匹ものサメが遊んでいるように、小さく音をたてて檻を叩く。
全身に鳥肌。
足は震え、その震えがきっと魚が死にかけているふうにでも見えるのだろう。
激しくぶつかってきて、檻を壊そうとしている。
檻の天井に手のひら全部をつけ、押す。
足は広げて、踏ん張る。
真ん中にいるように、端に行かないように頑張る。
そうすれば助かるかと思ったから。

