「まず、サメに喰われたら、動かないほうがいいですよ。
それから、サメは噛んだ獲物のことを一度離すクセがあります。
口が開いたらニゲテクダサイ。
そして、さっきキクカワがやったように、鼻先をタッチ」
タッチとか言ってる場合じゃねえ。
「暴れると食いついたまま海底に引きずりこまれます」
「ふ、ふ、ふ、ふざ」
「けてませんよ」
キクカワがまた懲りずに魚の頭を海に向かって振り回し、血の滴を落とし始めた。
檻の下にいた数匹のサメが群がり始め、血のまわりを回っている。
『ユウダイサマのシニカタは『歯』です。歯のシニカタはこういうことです』
クワレテシヌということです。
「これも前もってメールに書きましたが、ちゃーんと見ていただけました?」
「メールなんかきてねーだろ」
「えー、加穂留ちゃーんと送りましたよっ」
「あれか、あの、あの、かたかたかたかなのやつか」
「ひらがなまじりのです、カタカナだけじゃないですよ」
「文字化けだったんじゃねーのかよ」
「ひどい、ちゃんとメッセージだったのに。それに気づけばここに来なくてすんだのにい」

