俺の最期を記録に残す。
とんでもない計画を企てている加穂留はカメラの電源を入れ、試し撮りを始めた。
キクカワと呼ばれた男に捌いた魚の残骸を海に落とせと命令し、言われる通りにキクカワは魚の頭を回してもぎとり、内臓や血を絞り出すようにぎゅっと握りつぶしながら海に落とす。
血のにおいに誘われ、俺の下にいたサメが船のほうへ寄り、海面に浮いている魚を、
巨大な口を開けて食いついた。
垣間見えた歯は白く、鋭く、幾重にも重なっているように見えた。
キクカワは大きめな魚の頭を手で持ち、海に血を落とすように振り、サメを誘き寄せ、それを加穂留は笑いながら、楽しそうにビデオを回している。
「ユウダイサマ、よーく見ていてくださいね」
ビデオを回しながら俺に言い、海面を指差した。
直後、海底のほうから小さな黒い影が上がってきて、それは上に上がるにつれ、大きな影となる。
かなり大きい影はゆらりゆらりと左右に揺れながら、垂れる血に誘われるように上がってきた。
「きた」
加穂留がカメラをズームにした瞬間、ザバッという音と水しぶきを上げながら巨大なサメが魚の頭を目掛けて海面から飛び出すように顔を出した。
キクカワは慣れた手つきで魚の頭をサメから遠ざけるように持ち上げ、大きく開いたサメの口の中に血の滴だけを垂らした。
そのあと、サメの鼻先を手のひらで抑えるように触った。

