殺してあげる


「ユウダイサマ」
「なんだよこれは! 出せって!」
「やだ、そんなに怒らないでくださいよお。今から加穂留がせっかくレクチャーしようと思ってるのに」
「なんのレクチャーだよ! そんなことよりまずはここから出せ!」

「出しますよ。ちゃんと」

「サメに喰わせるんだろうが!」
「ですね」
「ふざけんな人殺しが!」

「やだ、望んだのはユウダイサマですよお。加穂留はその、お手伝いです」

「そんなもん望んでない! さっさと出せ!」


「あのサイトで警告を出してましたよね、それを無視して進んで行ったんですから、こうなるのは当たり前なんですよ」と、淡々と喋る加穂留に腹がたつ。

何を言っても聞き入れないスタンスだ。


サングラス越しにこっちを笑いながら見ていて、本当にあの清楚な女の子だったのかと疑いたくなる。


またサメが檻の下に当たった衝撃が檻の中に走る。腹の奥を掴まれたような錯覚に全身が震える。


「大丈夫ですよ」
「な、な、な、な、なにが!」

「その檻、ちゃーんと浮くようになってますから」


浮く?

浮くってことは、助かるのか?


「海面に出てないと、最期の記録ができませんからあ」


男が血まみれの手で手渡したのは、ビデオカメラ。


「キクカワ、カメラを血まみれにするのはやめてって、何回も言ってるでしょ」

「……………わりぃ」

今までの可愛らしい声からドスのきいた低い声に変わった加穂留は二重人格のようにも見え、怖い。