殺してあげる


キクカワの額に優しく唇を置く。

甘えるように顔を上げ、長い腕で私を抱き締めてくる。

頬を撫で、髪を撫で、キクカワの顔を両手で包み込んで、口の回りについた乾いた血を親指でなぞる。

そのまま顔を近づけて、イツモドオリにキクカワの唇に自分の唇を合わせた。

入り込んできた舌からは、やはり、イツモドオリに血の味がした。




昔、私もあの三人と同じように自殺サイトを巡っていた。

そこで、やはり同じようにあのサイトへ辿り着いて、同じようにあのパークで待ち合わせをした。

全て同じ。

今あの三人が住んでいるうちに住んで、監視下に置かれた。それが私が高校二年生の時。

いじめにあって、何度も死のうと思った。

でも一人じゃ死ねなくて、一緒に逝ける人を探していた。そこであの人に出会って、今の私と同じようなことをやられた。


死ぬのは怖い。


でも、いずれ来る死を受け入れて、それまでを楽しく生きてみる。そう決めた時から世界が変わった。

学校も変えて環境も変えて、性格も変えた。
時間はかかったけど、考え方も変えた。

そうすると見えてくるものが違って見えた。

私は私でやりたいようにやりたいことをすればいいって気づくと、他の人にどう思われようと関係ないと分かった。



あと50、60年後には今まわりにいる同級生なんかはきっとこの世にいない。

そう思うと、楽だ。



そう思うと、死のうと思うことの無意味さに気がついた。





もう、遅いけど。







そこまで思い始めた時、あの部屋から抜け出せることができた。

今はあの人の下で働いている。






死にたいと思っている人を助けるのが私の仕事。