殺してあげる


「だから言ったのよ、キクカワ。あいつらは助かるって。このグループは大丈夫。ちゃんと更生する。前のグループとは違う。よく分かった?」
「……はい」
「一人で仕事ができるようになるには、あんたにはまだ早いみたいだね」
「加穂留……僕はいつになったら」
「私がいいと言うまであなたは一人になれない」
「それじゃ、いつ僕はヒトを……」
「自由には食えない。私もあなたもあの人に拾われて助かった。自分の思っていることができるなんて思わないほうがいい。あいつらよりも残忍なシニカタで殺されたのを忘れたわけじゃないでしょう?」
「もちろん」
「あの人の下で働くという契約によって、私たちは自由にしていられるのを忘れないほうがいい」
「いつまでも……逃げられない」
「……きっとね。それに、私はもうここから抜けるのを諦めたわ。ここが私の居場所。あと数年は。私たちはもう既に一度死んでるんだから、そう思えば楽よ」



いつも通り、私の腕に自分の腕を絡ませてべったりとくっついてくる。血の匂いがまとわりついているのもいつものこと。きっと、外にくくられているアレを喰ってきたんだろう。

私にバレていないと思って、こっそりと喰ってきた。

私の肩に頭を預けるキクカワを撫でながらソファーに背中を預けて天を仰いだ。

目に入ってくるのは崩れそうな天井。割れたガラスに乾ききっている血。

足元には死臭を纏っているかわいい犬たちが丸くなっている。

森に頭をつっこんだ車の中には柩が無惨な形になっていて、その中には血のついた布。その上に数頭の犬が同じように丸くなって寝ている。

外は血だらけで、時折風にのって血の匂いと腐臭が部屋に入ってくる。

木にくくられている女はほぼ息絶えているが、たまに思い出したようにぶるりと体を大きく震わせた。

腸(はらわた)が腹から引きずり出され、半分乾いている。

傍らにはビデオを置いて、一部始終を録画している。

これはあの人に送る分だ。

あの三人の今後もどうなるか、あの家の中には隠しカメラだらけだから、何をしているのかはすぐに分かる。

いつシッコウされるのかをワクワクしながら待っているあの人の性癖は耐え難いものがあるが、今の私があるのもあの人のおかげだから、黙って従うしかない。