殺してあげる


「簡単なことです。やるのかやらないのか、それだけ」
「私はいいわよそれで。まだ生きてるならそれでいい。それに、それしか選択肢がないなら、考えることもないよね」
「その通りです。それではサトミサマはアチラへ」


キクカワが立っているのはこの部屋から外へ出るための扉。
白い扉の前に突っ立っているキクカワの顔は土色に変わり、目のところは窪んでいて影になっている。

躊躇することなくサトミサマは小走りでそちらへ向かい、私の方を振り返ることすらしなかった。


「さあ、次は?」


残る二人はサトミサマの後ろ姿を目で追って、キクカワが持っている紙にサトミサマが何かを書き込んでいるのを無言で見つめている。

このあと本当に助かるのかどうかを見ているんだろう。



バカな人たちだ。



白い扉を開けるとまばゆい光が細く、そして徐々に太く部屋の中に入り込んできた。

一言二言キクカワと話をすると、そのまま二人は外へ出て行った。

入ってきた光はいつの間にか消え去り、また変わらぬ部屋の空気に戻る。

しばらくして帰ってきたキクカワは何事もなかったかのように扉の前で立つ。



「なんだよここここれ。なななにもない」
「ございません。サトミサマは私共の契約にサインをして外へ出られただけ」