殺してあげる


「加穂留。私たちが悪かったから。だからお願い」
「アイコサマまで。アイコサマは一番死にたがっていたのに」
「お願い」


ここまで来て死にたくないって言っても……

三人は死にたくないって言うけれど、はいそうですかってなるわけがない。


「問題がなければ、ユウダイサマから逝きますが」
「ななななななんでだよ。なんで俺」
「最初でしたから。加穂留のサイトに来たの、ユウダイサマでしたから」

ユウダイサマは左右を見て、お前が先に逝けよとでも言いたさげだけど、何も言えない。

それはそうだ、この男には女に強く言えないという弱いところがある。

だから船の上で”見た”キクカワは私に虐げられる無惨な自分”に映った。


隣りにいるサトミサマはユウダイサマには何も言えない。
この女は男に弱いから。強がって一生懸命に背伸びをしているけれど、実際、経験なんて全く無い。わざと強がって自分をプロテクトしている。そうじゃないと自分のコンプレックスに押し潰されてしまうんだろう。

だから、劇場で”見た”キクカワは自分の好きな男に映り、私を引き合いに出して優越感を得たかった。


アイコサマは無関心だ。
この女は自分にしか興味がない。人がどうなろうと自分さえ良ければそれでいいというタイプ。
それに、しっかりと自分を”見ていない”から、今そこに存在していてもどこか遠くの方から自分を見下ろしている。
そんな錯覚の中で生きている。

だから、自分が生き残る為なら、私も、そして好きになりつつあったキクカワでさえも殺そうとした。

そして、究極の状況に陥ってようやく”自分の中の本性”思い通りにいかないとキレるという本性を露にした。