殺してあげる


「キクカワ、ほら、早く起こしなさい」

足元に転がるユウダイサマやサトミサマ、アイコサマを見下ろし、横にいるキクカワに目で合図する。

躊躇なく水を浴びせるキクカワは嬉しそうで、私はそんなキクカワを見て、全身に鳥肌が立った。

氷水を頭から体中にホースでかけられて起きない人はいないだろう。

三人とも何が起こったのか分からないというばかりに左右を見回し、状況を飲み込もうとしている。


「加穂留」
「サトミサマ、おはようございます」

もう一度仕事用の笑みを作り、顔に浮かべると、私は『加穂留』になる。

「わた……し、知ってるこの人。だって、確か見た気が……」
「おおおおおおおれも知っててててる。え、何ここれ」
「なんで……」


三人が三人を知っているのには意味がある。
お互いにお互いを見ているんだから。
知らないわけがない。

「加穂留、どうなってんのこれ。私たちって死んだんじゃ……」
「サトミサマ、加穂留がそんな残酷なことするわけないじゃないですかあ。
そんな風に思われてたなんて、加穂留、悲しくて泣いちゃうかもしれませんよぉ」
「だって」

サトミサマは思い出したように咄嗟に自分の腕を見て、そこに何もないのが分かると恐怖に陥った目で私を見た。

同じようにユウダイサマは全身を触って確認し、アイコサマは節々を触ったり、服をめくりあげて爆弾がついていないかを確認した。