殺してあげる


『羽』のシニカタは、一番むごい。
生きたまま木にくくられて、鳥に突かれてそのうち死んで、体にガスがたまって膨れると、体中の肉は外に飛び散りたくて更に脹れ、空気のたくさん詰まった風船を先の尖った針で突くように、ひとつきで簡単に爆発する。

だからこっちとしてもそれはそれですごくいい金になる。

いい獲物を絞りこむのは大変だけれど、対価はそれなりにいい。精神的に追い込まれるけれど、見返りは充分なほどだ。

キクカワは楽しんでそれをやった。獲物が確実に死ぬまでその場で観察し続けなければならない。

一部始終をビデオに録り、経過を逐一報告する。
それでもキクカワは目を離すと獲物に近づこうとする。近づいて生のまま喰らいつこうとする。

だから、その都度私はそれを止めなければならない。
そうしないと、契約違反になる。
あの人との契約は絶対だ。破ることは許されない。今までにも数人約束を破って、知らぬうちに忽然と消えていった人たちがいる。

その時になるとだいたい毎回キクカワは姿を消している。
きっとあの人に呼び出されて、考えたくないけれど、恐ろしいゲームの駒と化しているんだろう。

だからキクカワは私が何回もダメだと言っても、獲物に近づいていこうとする。


ターゲットはなにかひとつ違うところがあったほうがいい。
例えば今回のように鬼畜な奴ほど最期の画が素晴らしいものになる。

その対象になる人間が変わっていれば変わっているほど、金になる。


でも、そんな金さえも……


私たちの手元に入る金さえもあの人はうまくコントロールしている。どのくらいで私たちが満足するのかをしっかりと計算している。



結局私たちは……



こいつらとなんら代わらないゲームの駒でしかない。