ナイフを睨んだまま、いまだに倒れこんでいるキクカワの脚を蹴り飛ばし、「さっさと片付けなさい」と命令。
「や、や、や、やめて。やめてキクカワ。お願い。お願いだから、私と一緒に逃げよう? ね」
「………にげる?」
「そう。ここから出て、一緒に逃げよう」
「そんな……の、無理……だ。加穂留から逃げられるわけがない」
「やってみなきゃ分からないじゃん。お願い、これ、ほどいて。私と一緒に逃げて。お願い。大丈夫、私たちにはできるから」
「……………」
「キクカワ!」
揺さぶられてる。絶対いま揺さぶられてる。
キクカワを加穂留のところに戻したら、私、本当にこのままコロサレル。
なんとかこいつを、キクカワを丸め込まないと。
逃げられない。
「逃げる? 逃げて? ここから逃げられる?」
「そう。逃げるの」
「逃げる……」
「離れよう、ここから」

