「俺も久し振りに走ろうかな~ でもな、風に乗るのも良いけどさ、水の中を進むのも、すっげー気持ち良いんだ」 そういって笑う棗の瞳に、小さく青が光る。 ――――棗の目に映るのは、水の青だけだった。 私を見ているようで、何も見てくれてはいなかった。 「・・・・・・・じゃ」 「おう!!」 手を振る棗に手を振り返しながら、自分の胸の高鳴りが、静かに静まっていくのを感じていた。