妖精の心を貴方に

「望美が大変なんだよ」

「望美に、何かあったのか?」

俺は、勢い良く椅子から立ち上がる。

俺の様子を見ていた玲緒も、椅子から立ち上がった。

「一体何があったんだ?」

「さっき、小早川のファンクラブ団長の大形小姫って女が、望美を連れてどっかに行っちまったんだよ」

「お、大形が望美を?!」

「奈津、お前の事で呼び出されたんだろ」

「お、俺のことで……」

「そろそろ授業が始まるし、全然帰って来ないんだよ」

時計を見ると、授業が始まるまで後数分だった。

「なら、俺が探してくる」

「でも、授業が」

「別に、授業何て一、二回休んだって大丈夫だ」

俺は、クラスを飛び出して望美を探し始めた。