「何をしているのじゃ望美!奈津が待っているのじゃ」

「うん、そうだね」

鞄を掴んだ私は、玄関へと走って行く。

「お母さん、行ってきます」

「気をつけてね」

笑顔で送り出してくれる奈々美さんに微笑み、私は家の外へと出た。

「行くぞ、望美」

「うん、行こう“奈津”」

私に呼び捨てにされた奈津は、驚いた表情を浮かべていたけど、直ぐにいつもの表情へと戻った。

私たちを照らしている太陽の輝きが眩しくて、私は青空を見上げた。

今日の青空は、いつもより青く見えた気がした。