妖精の心を貴方に

「そう言う意味じゃなくて……」

軽く溜め息をついた私は肩を落とす。

「それより、早くしろよ。“望美”」

う、うん。

私は、鞄を取りに部屋へと戻った。

「あれ?小早川君、いまさっき私の名前呼んでくれた?」

『望美』

思い出して顔がどっと赤くなった。

「き、急に名字から名前で呼ばれるって、なんだかくすぐったいな」

でも、嬉しかった。

少しだけ小早川君に近づけた気がしたから。