妖精の心を貴方に

【望美】

突然、小早川君から『朝一緒に学校行かないか?』という誘いが来た。

こ、これは……!

まさに大チャンスだと思った。

好きな人との朝登校、叶わないと思っていた願いの内の一つが叶うだなんて。

「で、でも小早川君、サッカー部の練習は?」

でも、やっぱり恥ずかしくなってしまう。

「それなら大丈夫だ、今日の朝は部活ないからさ」

「そ、そうなんだ」

昨日と今日といい、何て良い日なんだろう。

こんな日が毎日続けば良いのに。

「い、一緒に行きたい……です」

顔を真赤にさせながら、私は小さな声でそう答えた。

「それじゃあ、約束な」

小早川君は、そう言うとサッカーボールを持って公園を出て行ってしまった。

「ほ、本当に、夢じゃないよね?」

夢だと思いつつ、私は自分の頬を強く引っ張ってみた。

「い、いひゃい!」

夢じゃない。

本当に現実なんだ!

「それなら、早く帰らなくちゃ」

下書きの絵を持ち、私は急いで家へと走って帰った。