「莎々原?」

「ん?」

名前を呼ばれた方へと振り返った時。

「こ、小早川君!」

私の好きな人、小早川奈津がそこに居た。

「な、何で小早川君がこんなところに?!」

「それ、こっちの台詞だから」

いや、小早川君より私が先に聞きたいよ。

「わ、私は、ここで絵を描いていたの」

「絵を?」

私は、軽く頷く。

嘘は言っていないけど、夢のことは言わないことにしよう。

「こ、小早川君は?」

「俺は、サッカーの自主練習だ」

そう言うと、小早川君は私にサッカーボールを見せてきた。