妖精の心を貴方に

「まだ先のことだし、じっくり考えればいっか……」

もしかしたら、私は“絆”というものを信じていないのかもしれない。

晶と沙弥佳たちを信じられないんじゃない。

不安だからだ。

もしかしたら、晶と沙弥佳も私のことをいつか裏切るんじゃないかって……。

二人とは小さい頃からの幼馴染で、ずっと一緒にいた。

でも、小学校に上がる時、私は二人とは別れてしまった。

晶と沙弥佳は、近くにある小学校に入学し、父の仕事の都合で私は、別の町へと引っ越した。

そして、引っ越した町の小学校に通っていた。

でも、中学に入学して数ヶ月たったあの日ーー

「はあ……」

やっぱり、ここから先思い出すのは辛い。

思い出そうとするたび、強い痛みが私の胸を締め付ける。

「……。どこの絵を描こうかな?」

気持ちを切り替えて、公園の中を歩いてみることにした。