妖精の心を貴方に

「そ〜っと」

ルルを起こさないように、静かに部屋を出て、奈々美さんが寝ている部屋の前を通り過ぎ、階段を下り靴を履いて外へと出た。

「寒い……」

まだ夏とはいえ、やっぱり朝方は寒かった。

「どこ行こうかな?」

まだこんな時間帯だから、お店なんて開いてるはずもなく行く宛がなかった。

「公園にでも行こうかな?」

誰かが居るわけじゃないけど、一時期よく公園で絵を描いていた時がある。

「一応絵の道具も持ったし」

絵が破られた以上、もうコンクールは間に合わないから、次のコンクールに向けてラフ画でも考えてようかな。

「次は確か、秋にある絆コンクールにだったよね?」

こういう時、すぐに描きたい絵が思い浮かぶんだけど、なぜか今回は思い浮かばなかった。