妖精の心を貴方に

「……カッター」

私は、ベッドから出て前髪で隠していた傷を、机の上にある鏡で確認した。

「……っ」

誰にも見られたくない傷跡。

一生消えることのない傷が、あのカッターによって傷つけられた。

「私は、どうすればいいの?」

私は、あの過去から早く抜け出したい。

早く忘れたい。

だけど、それは出来ない。

早く抜け出したいと思っても、早く忘れたいと思ってもそれは叶わないこと。

絶対に、あの記憶からは抜け出すことは出来ない。

「うぅ……」

そう思うだけで、涙が溢れて止まらなかった。