妖精の心を貴方に

「はぁ……、はぁ……」

勢い良く起き上がり、自分の様子を確認する。

「はぁ……、はぁ……」

額から頬にそって汗が流れ落ち、体が震えていることに気がついた。

「怖かった……」

何であの夢をまた見たのか。

この町に来てから、見ることはなかったのに……。

「どうして……」

私は、目をぎゅっと閉じて震える体を抱きしめた。

やっぱり、私はあの過去から逃げられないのかもしれない。

「あんな思い、もうたくさん!」

思い出しただけで気分が悪くなる。