妖精の心を貴方に

☆ ☆ ☆


その日の夜、あの夢を見た。

思い出したくもない嫌な記憶。

私の心をボロボロにした嫌な記憶。

「た、助けて!」

真っ暗な世界を、私はただひたすら駆けていた。

「いや!来ないで。もう私は、あなたたちとは関係ないんだから」

黒い影が私の後を追いかけて来る。

黒い影は私の手首を掴むと、思いっきり後ろへと引っ張り寄せた。

「痛いっ!」

「捕まえた」

「ひっ……!」

その声を聞いて、体に鳥肌が経った。

体は震えだし、力も入らなかった。