まさか、金平糖が家にあるなんて。

「でも、驚いたわ。まさか。望美が金平糖を食べたいって言い出すなんて」

「あ、あははは。ちょっと、食べたくなってしまって」

私じゃなくて、本当はルルなんだけど。

「小さい頃、よく食べていたものね。ところで望美、今日は学校どうだった?」

「……っ」

こうして一緒に夕食を食べている時、奈々美さんにいつも学校生活について聞かれる。

昔の事があるから、心配してくれるのは嬉しいけど話すことは嫌だった。

「き、今日も楽しかったですよ。晶と沙弥佳たちと映画見に行く約束してるんですよ」

「まあ、それは楽しみね!」

本当は、そんな約束なんてしてない。

話を合わせる為の嘘。

自分でもちゃんと分かっている、私がやっている事はいけないこと。

奈々美さんは、嘘だと知らず話を聞いてくれる。