【奈津】


「話せて楽しかったか、莎々原がそんなこと言うなんて思わなかったな」

門から離れようとした時、俺の目には莎々原の家の表札が目に入った。

「あれ?」

俺は、そこで違和感を覚えた。

「あいつの名字、莎々原だったよな?」

けど、この家の表札には『花崎』と書いてあった。

「そういえば、莎々原がうちのクラスに来たのって、今年の二月頃だったよな?」

きっと、何かの理由で名字が違うのかもしれない。

「そういえば、莎々原を初めて学校で見かけた時」

何でか懐かしさを感じた。