え、たったそれだけ?

「じゃあ、莎々原が一番好きなことは?」

「一番好きなこと?」

「俺は、サッカーをすることが一番好きなことだ」

小早川君は真剣な眼差しで、肩から下げていたサッカーボールを両手に持って見下ろした。

その瞳からは、本当に心からサッカーが大好きなんだって気持ちが伝わってくる気がした。

「私が、一番好きなこと……」

好きなことと言ったらやっぱり。

「私が一番好きなことは、絵を描くことかな」

私は、迷うことなく言葉にすることが出来た。