妖精の心を貴方に

【望美】

「ルル…、ありがと…」

私がそう呟いた時、私の心が大きく揺らいだような感じがした。

「!!」

まるで、私の中の何かが壊れたように。

「望美?」

「ううん、何でもない」

今のは、何だったんだろう。

私は、胸の辺りに手を当てる。

けど、それっきり私の中では何も反応はない。

(気のせいだったのかな?)

私は、皆の周りを見回す。

(誰かを、失った気分だ)

だけど、それが誰だったのかは思い出せない。

「あっ!居たい居たいハヤテ!」

「ハヤテ?」

奈津は、誰も居ないところに話しかけている。

「ハヤテ…、そうだ妖精…」

でも、その姿は私には見えなかった。

「何で見えないんだろう?」

確かに、前は見えていたように感じる。

記憶が曖昧になってるのかもしれない…。

その時、私は手にネックレスを握っていたことに気づいた。

「奈津から貰った、お守り」

その時一瞬だけ、そのネックレに付いている水晶が光って見えた。