妖精の心を貴方に

「望美、まだ絵は描いてるの?」

「うん…、最近はあまり描いてないけど、秋にコンクールがあるから、それに向けて描いていくつもり」

今なら描けそうな気がする、絆の絵を。

私が絆の絵を描けなかったのは、絆がどういうものなのか知らなかったから。

それと、友達という存在の意味を。

人は一人では生きてはいけない。

両親が死んで最初に知ったそのことは、友達の関係も現している。

友達と深めた絆を、簡単に壊せて元に戻らなくても、側に誰かが居てくれれば、またやり直せる。

私は、それを今日知った。

この機会を与えてくれたのは、もしかしたらルルなのかもしれない。

ルルが私の中から生まれて来ていなかったら、私はこんなふうに皆と向き合う事も無かったし、奈津との関係も発展しないままだったと思う。

「ルル…、ありがとう…」