【望美】

水道のある場所へと向かうと、そこには私の好きな人である小早川君の姿があった。

「こ、小早川君?!」

な、何でここに小早川君が?!

もう部活はとっくに終わっている時間帯なのに。

「莎々原じゃん、どうしたんだよこんなところで?」

は、話かけられた……。

「そ、それは……。こ、小早川君こそ、どうしてここに?」

「俺はこれ」

小早川君は、怪我した膝を指さした。

それを見た私は、青ざめた表情を浮かべた。

「け、怪我してるじゃん!」

「さっき転けたから」

小早川君でも、転ぶ事ってあるんだ。

ちょっと意外だなと思いつつ、私は石段に鞄を置いた。

「でも、さっき水で洗ったから大丈夫だと思う」

「だ、駄目だよ!」

私は、鞄の中から絆創膏と消毒液が入ったポーチを取り出す。