そのせいで、その男の子が誰だったのか、今も分からないまま。

だけど、覚えているのはあの子供みたいな笑顔と、「また会える」と言う言葉。

目を覚ましたとき、男の子の姿は無かったけど、私の心は軽くなっていた。

「望美！」

その代わり、私の側には奈々美さんが居てくれた。

「奈々美さん…」

奈々美さんは、私の手を握って言った。

「心配したんだよ？貴方倒れたって聞いたから！」

「ごめんなさい」

私が謝ると、奈々美さんは私を優しく抱きしめてくれた。

「今は、何も受け入れなくていい。私をお母さんだと思ってくれていいから、居なくならないでね」

奈々美さんの体は、震えていた。

こんなにも、私のを事を心配してくれていてんだ。

「うん、居なくならない」

その後は、奈々美さんが私を引き取ってくれるという話を聞かされて、この町から引っ越すことも聞いた。