ここ何日か、全然寝てなかったから。

安心して緊張感が解かれたおかげで、睡魔が襲ってきたのかもしれない。

「行か……、ないで」

私の口から、その言葉が出てきた。

男の子は、驚いていたけど、一番驚いたのは私だった。

「行かない…で!側にいて欲しいの!!」

声を振り絞ってそう言うと、男の子は軽く微笑んでくれて言った。

「ごめん、そばに居てあげたいけど、そろそろ行かないといけないんだ」

「…そっか」

私は、掴んでいた手を離す。

「だけど、俺達はまた何処かで会えるさ」

「え?」

男の子は、私に顔を近づけると、自分の額と私の額をくっつけた。

「今日俺達が出会ったのは、偶然じゃない。偶然じゃないなら、また会える」

「そうかな?」

意識が遠のいて行く。

「もちろんだ!」

「ねぇ…、最後に教えて」

「何を?」

「貴方の名前を…」

そこで、私の意識は途絶えてしまった。