「存在する価値がないだなんて、そんなのただの思い過ごしだ、現実から逃げたいだけの」

「そんなこと無い!私は本当に」

「じゃぁ、誰が価値がないなんて言った?」

「そ、それは…」

そんな事は、誰も言っていない。

「誰も言っていないって事は、思い過ごしだ。それに、人は生まれてきたのには、理由がちゃんとあるんだ」

「生まれてきた理由?」

何それ…?じゃぁ、私は何の為に生まれてきたの?

「でも、生まれてきた理由は俺にも分からない。だけど、俺はそう母さんから言われた」

「……。私にもちゃんとあるのかな?理由が…」

「あるさ!」

男の子と私の顔が近くなる。

「俺にもお前にも必ずある」

男の子の笑顔に、私は頬を赤く染めた。

「だから、お前は“生きて"いいんだ!価値なんて、そんなの関係ない!!」

その時、私の目から涙がこぼれ落ちた。