そう考えただけでも怖かった。

私は、右目の上に出来たカッターの傷跡を触る。

「痛…!」

ここのところだけ、深く傷つけられた。

「もう…やだ…」

家の中は、静かで誰も居ない事が分かった。

「怖い………。誰か助けて…」

そう願っても、誰も助けてくれない事は分かっていた。

紀葉も啓太も、両親も奈々美さんも皆…。

私の事なんてどうでもいいと思っているんだ。

「なら、私が強くならなくちゃいけない…」

私はベッドから出て、ロッカーの中に入っていた薬箱から、包帯と眼帯を取り出した。

「この傷は、誰にも見られちゃいけない」

この体の傷も全部、私は人に見られてはいけない。

「………」

私は、その中に入っていたハサミを取り出して、長かかった髪をばったりと切り落とした。

「私は…。くじけない、誰にも負けない。一人でいいんだ…」

鏡に写る自分の姿を、私は睨みつけた。