妖精の心を貴方に

紀葉と啓太が私と関わらないようにしてから、私は二人とは話していない。

一緒に帰ったりしていない。

「そうだ、望美今日の放課後空いてる?」

「放課後?空いてるよ」

「良かった!実はね最近この近くで美味しいケーキショップが出来たんだ、よかったら一緒に行かない?」

「うん、良いよ!」

夢咲となら、どこに行っても楽しそう。

「じゃあ、放課後ね」

夢咲はそう言い、教室から出て行った。

「望美ちゃん…」

「紀葉?」

さっきから、私と夢咲のやり取りを見ていた紀葉と啓太が、夢咲が出て行くと、私のところへと来た。

「何、二人とも。私と関わりたくないんでしょ?」

「そ、そんなこと無いよ!でも…」

「でも何?」

私がきつく聞くと、紀葉は怯えて口を閉じてしまった。

「望美、今日の放課後はあいつに付き合うな」

「え?」

啓太が、真剣な眼差しで私を見下ろしてきた。

「何で啓太にそんなこと言われないといけないの?」

「良いから!俺の言う通りにしろ!」

何で意味が分からない、理由もないのに夢咲との約束を破ることなんてできないよ。