妖精の心を貴方に

「……」

俺は、もう一度手に持っていた絵を見下ろした。

「きっと、素敵な子なんだろうな」

その絵を持ち、サッカーボールを脇に抱えて部室へと向かう。

部室の中へと入り、電気を付けた俺は、近くにあった青いベンチ絵の破片たちを置いた。

「とりあえず、絵を置いてと」

次に青いベンチに座りかけた時、膝に痛みが走ったのに気がついた。

「いぃ……っ!そ、そうだった。膝擦りむいたんだったけ?」

傷の手当もしないといけないか……。

この歳になって、ボールを足に絡ませて盛大に転んだなんて、あいつらに言ったら、しばらくはそのネタでいじられそうだ。

ボールを袋に戻し、絵をもう一度見下ろした。

「これ描いた人、誰だか知りたいな」

その絵を見た俺は、内心そう思うようになっていた。