何で私は、奈々美さんの子じゃないんだろうって。

「ねぇ、奈々美さん」

「何?望美」

奈々美さんは、出来上がったシチューのお皿を、私の目の前へとおいた。

「お父さんやお母さんが居ない時、奈々美さんの事お母さんと思ってもいい?」

私は、寂しかった。お父さんもお母さんも家には居なくて、一人ぼっちで。

今考えれば、私は奈々美さんが私のお母さんの代役になってくれれば、寂しい想いはしなくていいんだと、そう思っていたんだと思う。

「私なんかで良ければ、いつでもお母さんになってあげる」

「ほ、本当に!」

「もちろん!」

「ありがと!奈々美さん」

私は、奈々美さんに抱き着いた。