今から八年前―――

私は、小学校に上がる前にこの町へと引っ越して来た。

晶と沙弥佳達とお別れして、直ぐこっちに来た私は、それはもう機嫌が悪いのなんので、よく一人でイライラしていた。

「やだ!晶ちゃん達の所に帰りたい!」

私は毎日そればかり言っていた。

「仕方ないでしょ?お父さんの仕事の都合なんだから」

そんな私を、お母さんはいつも宥めていた。

「お父さん嫌いだもん!」

お父さんはいつも家には居なかった。

仕事が忙しかったってのもあって、家に帰ってくるのは二週間に一回あるかないかだった。

「そんなこと言ったら、お父さん凹むよ」

「ふん!」

私がそっぽを向いたとき、時計の針が四時をさして、町には夕焼けこやけが流れ始める。

「あら、もうこんな時間!お母さんそろそろ行くね」

「え〜!もう行っちゃうの?」

「ごめんね、お夕飯は机の上に置いてあるのを食べてね」

「むぅ~!」

私は、頬を膨らませてお母さんを見上げた。