妖精の心を貴方に

「とりあえず、この紙の破片を拾ってみるか」

俺は、膝を怪我していたことを忘れ、紙の破片を拾い始める。

「一枚、二枚、三枚と」

どうやら、四つに破かれていたようだ。

「これを合わせて見ると」

四枚の紙を合わせてみて、俺は目を見開いた。

「この絵……」

合わせた紙に描かれていたのは、サッカーをする少年だった。

「す、すげえ……」

自分でも分からなかったけど、この絵からは楽しくサッカーをプレイしている少年の気持ちが伝わってきた。

この絵を見ていると、まるで自分を見ている、そんな感覚になった。

「こんな素敵な絵なのに、誰が?」

もう一度校舎を見上げると、美術室の電気はもう消されており、人は居ないように見えた。