神社へと着き、鳥居をくぐって境内に入る。

「やけに静かじゃな」

「お祭りや行事があるとき以外は、いつも静かなんだよ」

「そうなのか」

ルルは、あちこち飛び回って、スケッチブックを取り出し絵を描き始める。

「何描いてるの?」

「この神社の絵じゃ、望美がよく遊んだ場所を絵に残したいのじゃ」

「そっか」

本当にルルは、絵を描くのが大好きなんだね。

そういえば、そろそろコンクールの下絵を描き始めないと。

だけど今回は「絆コンクール」、一体何を描けば…。

「望美ちゃん?」

「え?」

誰かに名前を呼ばれて振り返る、だけど私はその姿を見て目を見開く。

「な、なんで…?」

私の体は、かすかに震え始めていた。

私の目の前に居たのは、この町にいた時の元クラスメイト。

「望美…」

「望美ちゃん…」

元親友二人の、原田啓太(はらだけいた)と、大林紀葉(おおばやしかずは)がそこに立っていた。