「貴方はいいのよ、いても邪魔」

母さんは、笑顔で俺にそう言ってきたけど、その目はもちろん笑っていなかった。

(こ、こえー)

母さんは、俺を残して奥の方へと消えていった。

「あらあら、これは私も少し家を空けましょうか」

「どういうこと?」

「久しぶりの、親子喧嘩だよ」

あー…、なんか少し思い出した。

確か、小三のとき庭でサッカーボールで遊んでるとき、母さんとおじいちゃんなんか言い合いしてたっけ?

「奈津どこに行くんだ?」

「そうだなー、とりあえずその辺歩くか」

もちろん、サッカーボールは持っていく。

(あれ?結局昔だれとサッカーしてたんだっけ?)

近くの神社の境内で、よく二人でサッカーをしていた。

その子は、俺と同じくらいサッカーが大好きで、名前は確か………。

「うーん、思い出せん」

そのうち思い出すか。

俺は、サッカーボールを、軽く上へと蹴った。