妖精の心を貴方に

「そうだ望美、彼氏はできたのか？」

「えっ！」

い、いきなり何を聞いてくるのおじいちゃん！！

「そりゃいるわよ、だって望美よ」

「い、居ないから！！」

か、彼氏なんているわけないじゃん！

好きな人はいるけど。

「そうなの？じゃぁあの時迎えに来た男の子は？」

「あ、あの子は友達！前にそう言ったじゃん」

「そうだったかしら？」

奈々美さんは、何かを知っているような目で、私を見てきた。

「でも、望美好きな男の子は、居るんでしょ？」

「えっ！そ、それは…」

居るけど居ないとも言えない。

「はっきりしなさいよ」

「そうだぞ望美、はっきりしないといずれ誰かに取られてしまうぞ」

「え！」

奈津が誰かに取られるなんて、そんな事をあまり考えた事が無かった。

終業式の日は、風邪も治って元気に来ていたけど、あまり話さなかったんだよね。

お見舞いに行ったとき色々とあって、隣の席にいても、心臓の音が凄かったし…。

私はふと、お見舞いの時の奈津の行動が脳裏を横切る。